日本の2030年エネルギーベストミックス案の論理を見直す


 日本経済新聞記事より

「2030年のエネルギーベストミックス案 最終案決定」 (2015/06/01) 

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS01H0A_R00C15A6MM0000/


やっぱり、現政権は「経済優先」なんですね。
私は、そうであっても経済優先の先にあるもの、思想やビジョンをもっと提示してほしい。


何のために経済を豊かにするんでしょうか。

今後100年、次世代や世界のあるべき姿を模索しているのでしょうか。


資本経済とは異なる方向性は十分に検討もしくは評価されているのでしょうか。


現状の課題のための将来の政策ではなく、将来のための現在の政策という視点がもう少し検討されてもいいのではないでしょうか。


今回の案では、過去に起きた問題や議論をどう捉え、改善したのかという視点も曖昧だと思います。

2014年の国民的議論の選択肢で一番原発比率高いものを選んでます。

これでは新設や稼働から40年以上経過した原発も延長稼働が必要です。


日本は、資源が少なく、エネルギーの外部依存性、化石燃料の比率も高い。

これは、震災前からの問題だったことです。


その課題への対応として、
震災前までは原子力発電を基幹電源と位置づけ、推進することで
エネルギーの自給率を高め、
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス排出量の削減目標を達成しようとしていました。


震災前と今とでは、世論や社会のエネルギー政策を捉える視点は違うはずです。

今回の策定に関して、2011年の東日本大震災の教訓や、国民の議論の経緯は、
今回のエネルギーのベストミックスで議論されるべきです。


議論で述べられてきたこれらの方向性はどうとらえられたのでしょうか。
・原発比率をできる限り少なくする。

・国民の安全性を第一にする。


今回の案で重視したことは

「経済」・・・エネルギーコスト

「安定供給」・・・必要なエネルギー量を世界情勢に関わらず、安定的に得る


です。


もちろん今回のエネルギーベストミックスの策定の背景には、

日本国内のエネルギー政策への意見だけではなく、

国際的な温室効果ガス排出削減の協調への配慮が大きいです。

気候変動、特に温暖化では

「年平均気温の上昇」

「台風や大雨被害の増大(頻度・規模)」

という影響があることは、これまでの研究でも自明でした。


日本でも、気温の上昇や台風被害の増加など感じる機会が増えているのではないでしょうか。


一概に、エネルギーセキュリティのみもしくは温室効果ガスのみの視点で

意見の論旨を組み立てるのではなく、
複合的で長期的な課題に対して、

どのように論理的に分析し何を重視するのか、
あるべき姿に向けてこれまでの日本の経験や視点を活かして構築していくのか。


今月のG7, 11月のパリCOPでの表明に世界中が注目していると思います。